杜氏・蔵日記

〝本〟みりんの〝本〟の意味って…??

いつもご愛顧いただきありがとうございます(^^)

前回までの記事、多くの方が読んでくださり、とても嬉しいです。

ちょっとした豆知識からお役立ち情報など皆さんに寄り添ったテーマをこれからもどんどん深掘りして行こうと思います!


さて今回は、ふと疑問に思ったこと。

〝本〟みりんの〝本〟ってどんな意味があるのか。

私、「本物の」「本当の」って意味だと思っていました。(決して、〝本〟がついてないみりんを偽物だと思っているわけではありませんよー!)

『このみりんこそ真のみりんだ!』という気持ちや願いを込めて名付けたのかな、と勝手に本みりん第一号を造った人の想いまで読み取ってみたり…。

果たしてこの認識で合っているのか?!(絶対違う予感!)

調べてみました!

調べていくと、みりんの出現から深掘りすることになりました。(ここで〝みりん〟と敢えて表記したことに意味があったりなかったり…?!) 

みりんは元々お酒として愛飲されていたのですが、少なくとも、

戦国時代〜江戸時代

にかけてはもう出現していたと思われます。

これらのものは、現代の本みりんと同質のものであったかは定かではありませんが、本みりんの特徴のひとつである〝甘味を持った酒〟であったことは間違いないようです。

さらに興味深かったのは、「蜜淋(ミイリン)」と呼ばれていたこと。

「淋、琳、醂」はしたたるという意味があるので、蜜がしたたるような甘い酒ということが名前からも伝わってきます。

現在よく「味淋」と表記されることが有りますが、目にするたびに〝味が淋しいだなんて…〟と思っていたのですが、

本来は「蜜淋」であったのですね!なんだか可愛らしくて美味しさも伝わってきて、個人的にお気に入りです!!

さてはて、すこし脱線しましたが、本みりんの歴史はとても長く、このあと紆余曲折ありまして…その後、料理の調味料として、みりんが仲間入りするわけです。(本みりんの歴史はまた追々まとめます)

ある時、みりんが大ピンチに!!!

それは、第二次世界大戦後、米を多く使いすぎると言う理由で23年製造中止になってしまったんです!!

それ以降、市場に出てきたのが…

「新みりん」

え?NEWバージョン?!新発売?新登場?

なんとも魅力的な名前です。。

しかし、その中身は、アルコール分1%以下、ブドウ糖、調味料で合成したもので、本来のみりんとは原材料も造り方も違ったのです。

「でも今までのみりんが売ってないんだもの。買うっきゃないわ!」と、みるみるうちに広まります。(昭和27年〜28年)

もちろん、元祖〝みりん〟だって黙ってはいません。

名称問題が起きます。

そこで、元々〝みりん〟と名乗っていた方に、

「本みりん」

新みりんに対して〝本〟がつけられたのです。

それ以降、本みりんと新みりん、20年以上すったもんだで、昭和50年、新みりん排除命令が出ます。

おぉ!本みりん、みりんに戻れる!

果たして、完全に新みりんは消えてしまったのか。いえ、まだ皆さんもお目にかかったことあると思います。そうです、現在マーケットでみかける、

「みりん風調味料」さんなのですね。

なるほどー。単純に検索すればポンっと答えが出てくると思っていたのですが、奥が深い。いや、深すぎてまだ掘りきれませんでした! 

ここでテーマの結論をまとめますと、

・元々、〝みりん〟とは今の〝本みりん〟のこと。

・原材料と製造方法が違う〝新みりん〟との区別のために〝本〟がつけられた。

と言うわけです。


冒頭で触れた、「本物の」「本当の」の〝本〟であるという予想、案外、外れていなかったですね。

今まで、福来純本みりんを手に取りながら、「このみりんってさ、」と言う友人に「みりんじゃないよ、〝本みりん〟!」とつっこんでいたのですが、訂正してお詫びします。

しかし、現在では、みりんありますか?とマーケットで尋ねると出てくるのはみりん風調味料だったり。

より多くの人に、本みりんとは一体?ということに興味を持っていただいて、今後みりんと言えばこれでしょ?と迷わず本みりんが出てくる時代が来ると良いなぁと思います。(蜜淋でもいいなぁー)

参考文献:「本みりんの科学」/当蔵の資料

本みりんを呑んでみよう!〝ジンジャーエール風〟

あなたも本みりんを呑んでみよう!!