杜氏・蔵日記

伝統製法本みりんがもたらす効果

この知識はこんな方におすすめ☝️

  • 照り焼き・焼き鳥・蒲焼きなどに見られる美しいテリやツヤの正体が知りたい方
  • かまぼこ、魚の煮付けに本みりんが使用される理由

目次

本みりんの最大の特徴

本みりんの最大の特徴は、「甘み」にあることは間違いありません
清酒は2〜5%ですが、本みりんは43〜47%の糖分を含みます。本みりん中に含まれるアルコールは糖の甘味を丸くし、糖はアルコールの刺激を緩めます。
その意味では、本みりんに含まれるアルコールは糖の隠し味とも位置付けられるでしょう。

本みりんの糖分の調理効果

1.テリ・ツヤや焼き色への影響
2.焙焼香の前駆物質としての役割
3.嫌な匂いのマスキング効果
4.上品な甘みの付与
5.抗酸化物質の前駆物質
6.酸味、アルコールの緩和作用
7.粘稠性の付与

ここで、本みりんが持つ独特な甘みは本みりんにとって第一義ではありますが、これもアルコール・アミノ酸・有機酸の補助的な作用があってこそ生じていることにと留意しなければなりません。すなわち、本みりんの甘みは、グルコースを主体に各種のオリゴ糖・デキストリンで構成される糖組成だけで十分説明できるものではないのです。

つまり、アルコールや有機酸は本みりんの甘味の隠し味的に作用しますし、本みりんの糖はアルコールの刺激的な味や酸味をおとなしくさせるという相互的な作用が重なりあって、生まれる甘味が本みりんの独特の甘味なのです。

美しいテリ・ツヤ・焼き色の正体

本みりんの糖のもう一つの大きな役割は、照り焼き・焼き鳥・蒲焼きなどに見られる美しいテリ・ツヤや焼き色と、香ばしい香りの前駆物質として働くことです。これはアミノーカルボニル反応と呼ばれ、原則的にはアミノ酸とグルコース・マルトースなどの還元糖との間に起こる反応です・この一連の反応によって、褐色のメラノイジン物質やアセトアルデヒド・イソバレルアルデヒドなどのカルボニル化合物や、フラン類・フラノン類などの含酸素化合物、さらにはピラジン類などの含窒素化合物などの香ばしい焙焼香が生成されます。

焼き色や加熱香気は種々の成分が一定の割合で配合されてはじめて、焼き鳥の色とか蒲焼きの匂いとかいった食品の調味の特徴がでるものです。これにはアミノ酸・糖の種類だけではなく、量比にも大きく左右されるのは当然のことです。例えば、グルコースとプロリンとを加熱反応させるとパン屋の臭いが出ますが、グルコースとフェニルアラニンとを加熱しますとスミレの花の匂いが生じます。つまり、同一のアミノ酸でも反応する糖の種類が変われば匂いは異なり、また例え同一のとうとアミノ酸であったとしても、その割合によって生成される香りは違ってくるのです。

かまぼこ・魚の煮付けに本みりんが使用される理由

逆説的に言えば、私たちは食品の香り成分が複雑であるからこそ、食品の香りを区別することが可能となるわけです。
また、アミノーカルボニル化合物の中間生成物であるαージカルボニル化合物が魚の嫌な匂いの成分であるアミン類と速やかに反応して魚臭を消すこと、さらに、かりん糖ではメラノイジン物質が油の酸化臭を抑制する効果があることなどは広く知られているところです。かまぼこ、魚の煮付けに本みりんが使用されるのは、以上の理由によるものです。

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